泣いた、泣いた。めちゃくちゃ泣いた。
今年一番って言っていいほど泣いた。(まだ半年だけど)
何に泣いたかというと、感動したとかそういうのではなくて、とにかく辛くて辛くて泣けた。
イギリスで実際に起きた冤罪事件を元にしたドラマで、委託の郵便局長達が新しく導入した会計システムのバグのせいで、決算が合わずに次々と横領や詐欺の罪に問われていくという恐ろしい物語。
ある人は財産を没収され、ある人は耐え切れずに冤罪を認め、ある人は無罪を立証できずに刑務所に送られ・・・と、とにかく悲惨なことが起きる。
それなのに郵便本部(ポストオフィス)は会計システムのバグを認めない。
さらにひどいのは、委託の郵便局長なので決算が合わなかった不足分は自己責任で埋め合わせしなくてはいけないというとんでもないシステム。
人によっては悪いのはシステムに不慣れな自分のほうで、何か間違った操作をしているからだと思い込んでしまったりと、なんかもう気の毒すぎていたたまれない。
だってさあ、実際にこんなことが自分の身に起こったら、まさか会計システムのせいだとは思わないよな。だって今使っているこのPCが実はバグを起こしていて、エクセルの換算が間違ってるとか思わないもんな。なんか自分が間違った操作をしていると思い込んでしまって当然だよな。
中には絶対に会計システムがおかしいと思って、果敢に立ち向かう人もいるんだけれど、裁判で立証できずに、かえって賠償金が膨れ上がり、仕事も解雇されてしまう始末。真実を話したところで法は守ってはくれない。
巨大企業に一個人が立ち向かっていくことの難しさを思い知らされる。しかもイギリスではポストオフィスは国営のため、バックには国がついている。不都合な真実を隠蔽するために、無尽蔵の税金がつぎ込まれるんだよ。
不当な罪を着せられても泣き寝入りするしかなかった郵便局長達だけれど、アラン・ベイツという元郵便局長が他にも同じ境遇の人達がいるはずだと集会を呼びかけたことから物語は動き出す。
自分だけだと思っていたら実は多くの郵便局長達が同じ理由で苦しめられていたことがわかり、彼らは一致団結してポストオフィスに真実を明るみに出すことを要求していく。
最終的には集団訴訟の裁判で勝利を収めることになるのだけれど、そこに至るまでの道のりが細密に描かれていて見ごたえがある。特に巨大企業のやり口の汚さというか、一般人が企業を相手に戦うことの難しさがこれを見るとよくわかる。
そんな中でも自ら進んで味方をしてくれる国会議員や法務会計士や弁護士といった人達がいて、人は必ずしも利益や損得勘定だけで動くわけではないとわかって泣けてくる。
全4話構成のドラマだけれど、第1話は辛くて辛くて泣きっぱなし、第4話は感動して泣きっぱなしだった。
海外ミステリードラマが好きでよく見るけれど、もっぱら殺人事件ばかりだったので、こういうリーガル・サスペンス要素があるものは久しぶりでおもしろかった!
今のところはミステリーチャンネルでしか放送されていないようなので、今後ぜひともいろんな動画配信サイトなどで見れるようにして欲しい。
現時点で、今年一番のおすすめドラマです。