The History Hour

華流ドラマ・海外ドラマの感想や幻想水滸伝のプレイ日記が中心。推しを愛でるのが目的なのでネタバレ満載です☆

【洋画】ウィ、シェフ!:料理には人を幸せにする力がある

2024年7月16日視聴 WOWOWシネマ

2022年製作/97分/G/フランス
監督 ルイ=ジュリアン・プティ
原題:La Brigade
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2023年5月5日

おすすめ度★★★
満足度★★★
一人でじっくり見るのがおすすめ

フランスの移民問題を取り扱った社会派ヒューマンドラマ。社会派と言ってもお堅いものではなくて、ポップな感じで気楽に見られる。

ストーリーは「孤独なシェフと移民の少年たちが料理を通して交流する」もので、ネタとしてはけっこうありがち。ラストにちょっと捻りがあるが、特にドラマチックな出来事が起こるわけでもなく、彼らが徐々に交流を深めていく姿が描かれる。

一癖も二癖もある登場人物が大半だが、彼らの中に悪人はいないので、安心して見ていられる。シェフと移民の少年たちの間でさほど大きな衝突もなく、割とあっさり仲を深めていく姿は若干ご都合主義に思えるけれど、ほっこりとした和んだ気持ちになれるので落ち着いて見たい時にはいいかもしれない。

また、料理の映像がとにかく綺麗で芸術的ですらある。全体的に映像がとても美しく仕上がっている映画だが、料理を映すときの光の加減やピントの合わせ方は別格。このシーンにひと際力を入れて撮影していることがうかがえる。

基本的にはサクセスストーリーなので、鑑賞後に嫌な気持ちになることはない。ただ、フランスの移民問題にそこまで深く切り込んでいるわけではないので、上っ面の綺麗な面だけ見せられたような気にはなる。料理を楽しむヒューマンドラマとしてはいいが、移民問題を深く掘り下げた重厚な人間ドラマだと思ってみていると肩透かしをくらう。

とはいっても、私はこの映画を見るまではフランスの移民政策についての知識がほぼゼロだったので、こういう問題があるのだと知ることができてよかった。なにせ移民と難民の区別さえついていなかったからな。最初は移民=難民だと思って見ていたので、少年たちが自発的に親元を離れてフランスに来ていることさえ知らなかった。映画を鑑賞した後も移民と難民の区別が完全についたわけではないけれど、フランスにおける移民政策がどういうものなのか少しは理解できたと思う。他国の問題を知ることは、自国の問題を顧みることにもなると思うので、ぜひ少しでも多くの方にこの映画を観てもらいたい。その点では、この映画をとっつきにくい社会派ドラマとしてではなく、楽しい料理の物語として制作したのはとても良かったと思う。

それにしても、料理はやっぱり世界の共通言語だな。人を幸せにする力があるよ。