The History Hour

華流ドラマ・海外ドラマの感想や幻想水滸伝のプレイ日記が中心。推しを愛でるのが目的なのでネタバレ満載です☆

【洋画】私がやりました:コメディタッチの風刺映画

2024年7月21日(日)視聴 WOWOWシネマ

2023年製作/103分/G/フランス
原題:Madeleine
監督:フランソワ・オゾン
脚本:フランソワ・オゾン
配給:ギャガ
劇場公開日:2023年11月3日

おすすめ度★★★
満足度★★
お一人様向け&ファミリー向け

★あらすじ

1930年代のパリ。殺人容疑をかけられた無名の新人女優マドレーヌは、これを名を売るチャンスと捉え、自身がやってもいない殺人容疑を認める。親友の女性弁護士ポーリーヌの力を借りて、正当防衛による無罪放免を勝ち取った彼女は一躍有名スターとなるのだが・・・。

 

★ネタバレあり感想

なんだろう。おもしろかったと言えばおもしろかったけど、観終わった瞬間、え?これで終わり?ってなった。

これはいったい何を描きたかったのかな。女性の立場が弱かった時代に、女性の権利を描いた作品なのだということはわかる。それを正面からシリアスに描くのではなく、コメディタッチにすることで風刺の効いたエンタメ性の高い作品に仕上がっているとも思う。でも、なんかそれだけなんだよな。あとに残るものがないというか、メッセージ性が感じとれないとうか。映画としては質の高い作品に仕上がっていると思うけど、なんか捻りが効きすぎて逆にテーマ性が薄まってしまっているようにも感じる。まあ、テーマとかそんなものは見る側が勝手に受け取るものだから、映画自体がおもしろければそれでOKという考え方もあるけれど。

う~ん、ただな~。主役の女性二人のやることが何もかもうまくいきすぎて、ん?なんか苦労せずにすべてうまくいっちゃったなという感じ。もっといろいろ波乱万丈な出来事が起こるのかと思っていたら、それほどたいした問題もなく、割とあっさりすべて丸く収まってしまった。どうにも尻切れトンボというか、不完全燃焼で終わった感が否めない。

う~ん。おもしろかったけど、すごく中途半端なおもしろさだった。最後にもうひと捻り観客が「やられた~」と思うような何かがほしかった。

 

フランソワ・オゾン監督の映画を観るのはこれが初めてで、「唯一無二の世界観」というキャッチコピーに見る前からハードルを上げすぎていたのかもしれない。確かに唯一無二の世界観で、すごく独特な雰囲気を醸し出している映画だった。

初めから物凄く「お芝居」を観ているという感じ。映画というよりも演劇を観ている感覚に近い。俳優達の演技が芝居くさいし、映像もどこか作り物めいている。とにかく登場人物の言動がわざとらしくて、現実にはこんな芝居がかった喋り方をする人も突飛な思考をする人もいないと思ってしまう。わざとそういう演出をしているのはわかるけど、こういう映画を見慣れていないから、物凄く違和感があった。結局最後まで映画の世界に入り込込めずに、ずっと客席から舞台上の役者達の演技を眺めているような感覚だった。でもきっとそれこそが監督の狙いなんだろうな。

なんだろうな。こういうのを風刺が効いた映画というのかな? 1930年代のパリを描いた風刺映画といったところか。それを馬鹿正直に描いてしまうと重くなりすぎるから、ブラックユーモアに包んで観客に提供したというところか。

 

確かにおもしろかったけど、めちゃくちゃおもしろいわけでもないし、ちょっとおすすめしにくい映画。やっぱり観終わったあとに「あ~、おもしろかった~」となるのではなくて、「え~?これで終わり?」となってしまうことが一番のネックだな。物足りなさが半端ない。

だからといってじゃあどんな結末なら満足するんだと問われれば答えようがないけれど、いっそのこと最後には主演女性の二人が思いっきり破滅したほうが見ごたえがあったかもしれない。でも成功から一転して転落の一途を辿る映画ってたくさんあるし、そういうのは見ていてこっちも辛くなるから、この映画は二人が成功したまま終わってくれてほっとした。

そうなるとやはり一概に破滅すればいいというわけではない気がする。う~む、困ったぞ。じゃあ、どういう終わり方なら満足できたんだろう。わからん。

まあ、観て損をする映画ではないから、まだ鑑賞したことのない方はぜひ自分の目で確かめてください。人によっては十分に満足のいく結末だと思う。