The History Hour

華流ドラマ・海外ドラマの感想や幻想水滸伝のプレイ日記が中心。推しを愛でるのが目的なのでネタバレ満載です☆

【邦画】ゴジラ-1.0:予定調和だけどおもしろい、王道ゴジラ映画

2024年7月14日(日)視聴 WOWOWシネマ

2023年製作/125分/G/日本
監督:山崎貴
配給:東宝
劇場公開日:2023年11月3日

おすすめ度★★★★★
満足度★★★★
ファミリー向け

 ※ネタバレあり感想です

おもしろかった。全米で日本映画の歴代興行収入2位になるだけのことはあるなと思った(ちなみに1位はポケモン)。

とにかく何が一番良いかというと、観終わったあとに「あ~、おもしろかった」と笑顔で言えるのがいい。パニック映画で人がどんどん死んでいくのに、鑑賞後の爽快感が半端ない。なぜかというと、きちんと正義が悪に勝って終わるからだ。そしてメインキャストが誰一人として死なないからだ。

正義は勝つ。努力は必ず報われる。

そんな一昔前のヒーローアニメのようなことを地でいってくれているのがこの映画だ。こう書くとまるでけなしているように聞こえるかもしれないけれど、そうじゃないよ。逆だよ。褒めているんだよ。

最近はやたらと小難しかったり、イヤミスみたいにモヤモヤした気分にさせられたりする映画やドラマやはたまたアニメまでそういうタイプが多いから、逆にここまでやってくれると清々しささえある。誰もが報われる世界。そういうのって現実ではあり得ないからこそ、こうやって虚構の世界でやる意味があると思うんだよね。

はっきり言って、なにもかも上手くいきすぎていると思うよ。みんながみんな良い人だし、作戦はうまくいくし、伏線の張り方だってありふれてるし、予定調和感が半端ない。すべてがきれいにまとまりすぎていて、すべてがなんだか嘘っぽい。だけどそこが良いんだよ。観終わったあとに「あ~、おもしろかった」と笑顔で言えるのが大切なんだ。

 

では、具体的にどのへんが予定調和で、どのへんが嘘っぽいと感じたのか語ってみよう。

 

主人公・敷島の特攻隊員設定

日本でこの設定を扱うのってホント難しいんだなと思った。最初からなんかもう嘘っぽいとしか思えないんだよな。特攻隊員の気持ちなんて、現代の日本人にわかるわけないんだよ。戦後の焼け野原で生きてきた人達の気持ちなんて、のほほんと生きてきた私達にわかるわけないんだよ。それをいくら演技のうまい役者さんに演じてもらったって、感情移入なんてできないんだよ。しかも映像がやたらと綺麗で明るくて、なんかもうすべてが嘘っぽいとしか思えなかった。これ、モノクロ版で見たらもう少しマシなのかなあ。主人公をこんなくそ重たい設定にする必要があったのか?と思いながら見ていたけど、あのラストにつなげていくためには必要な設定だったんだな。なんかそれも含めて予定調和が半端ないけど。だけど橘整備兵が、自爆目的だった特攻機に脱出用パラシュートを取り付けたのはよかったな。これは敷島に対してだけでなく、特攻で亡くなったすべての人達を想っての行動だったんだろうな。ストーリーとしてはありふれているけれど、現実の特攻隊員達への敬意の表れだったんだろうと思う。その意味では、ゴジラを倒してみんなが敬礼していたシーンも、ゴジラに対してではなく、戦争で亡くなったすべての人達に対する弔いの敬礼だったのではないかと解釈している。

 

ワダツミ作戦の皆さん

この映画でもっとも嘘っぽいと感じたのがこの人達。まず作戦会議が始まった時点で「俺には家族がいるので無理です」なんて言う奴らは、最初からはねておけ。なんでそんな奴らがここにいるんだよ。最初からそういう会議だってわかってるだろ。作戦に参加するかどうかではなく、作戦内容を吟味するための会議じゃないのかよ。最初からその覚悟のある奴らが集まってるんじゃないのかよ。そのあといきなり「みんなで頑張ろう」「おー!」という流れになって、逆になんだか白けたよ。あまりにも不自然だったし、無理やり感が半端なかった。

あと、山田裕貴が演じる水島もなあ。設定が安直なんだよなあ。戦争に行ったことがないから、つい口を滑らせて敷島を怒らせてしまう。なんというか、とてもステレオタイプなんだよな。そして最後は人生の先輩達からあとを託されワダツミ作戦からはずされて、でもここぞというところで彼が連れてきた船団が先輩たちのピンチを救う。すごくわかりやすい展開だ。観客でこの展開を読めなかった人はいないのでは? どういう活躍をするのかはともかく、「こいつ絶対にここで引き下がるわけがない。きっと何かするぞ」と誰もが思って見ていたのでは? 期待通りの展開にはある意味カタルシスを覚えた。

 

典ちゃんの生還

典ちゃんが生きていたのはサプライズだった。普通なら死んでるよね? あの映像を見たら死んでると思うよね? そしてメインキャストの誰もが生き延びたことを思えば、いくらなんでもさすがに一人くらいは犠牲が出てると思うよね? だから典ちゃんは死んだものだと思って疑わなかった。まさかラストで生き返るとは思わなかった。これはいい意味で裏切られたな。山崎貴監督は、この映画を徹底してハッピーエンドで締めくくってきたな。

 

最後に

はっきり言ってストーリーはなんの捻りもなかったと思う。ありきたりでスタンダードな内容だったと思う。でも、だからこそおもしろいし、だからこそ感動できる。妙にこねくり回した物語よりも、ど真ん中狙いのストレートのほうが心に響きやすい。この映画は誰もが観て楽しめる映画の真髄が詰め込まれた作品だった。わかりやすくて、おもしろい。王道が一番だと思わされた作品だった。