The History Hour

華流ドラマ・海外ドラマの感想や幻想水滸伝のプレイ日記が中心。推しを愛でるのが目的なのでネタバレ満載です☆

【海外ドラマ】名刑事コールマンの捜査と子育て両立奮闘記:心温まるミステリードラマ

2024年8月3日(土)視聴 ミステリーチャンネル

パリの第一線で活躍していた独身刑事コールマンは、妹夫妻の事故死によって彼らの三人の子ども達を引き取ることに。難事件に挑みながら、慣れない子育てに悪戦苦闘する!
2022~2023年、フランス他 制作/尺:約110分×全3話/原題:Simon Coleman

これはなかなかいいドラマだ。フランスはこういうハートフルな刑事ドラマを作らせるとうまいよな。難事件に挑むミステリーパートと、子育てに奮闘するプライベートパートがとてもいいバランスで織り交ぜられていて、見ていてとても楽しかったし、見ごたえがあった。

 

視聴前は、子育てしたことのないおっさんが子ども達に振り回されて四苦八苦するドラマかと思っていたけど、そういうわけではなかった。確かに子ども達との接し方がわからなくて、いろいろ悩んではいたけれども、お互いに相手のことを尊重しているのがわかるから、見ていてとても気持ちがよい。子ども達のわがままも、両親を亡くした寂しさからくるものばかりで、「このクソガキ」と思うような無茶ぶりを言ってこないところがよい。とにかく子ども達がいい子すぎて、愛しくて、可愛らしい。ちゃんとわがままを言うんだけど、どれも許せるわがままなんだよな。

そして私が一番いいなと思ったのは、コールマンと子ども達の関係だ。子どもを引き取りはしたものの、コールマンは決して彼らの父親になろうとはしない。今までと同じように伯父として接してくる。そこがいいなと思った。子ども達との距離感が絶妙なんだよな。子ども達の父親にはならないけれども、子ども達を愛してるしきちんと責任を果たそうとする。そのせいでどう接すればいいのかわからなくて、子ども達につい甘くなってしまったり、強い態度に出られなくて悩んでる姿が愛おしい。伯父として子ども達を導き育てる責任を試行錯誤しながらも一所懸命に果たそうとするコールマンの姿に好感が持てる。

 

そして肝心のミステリーパートは、とても王道な刑事ドラマだった。捜査の過程で浮かび上がる容疑者をひとりずつ消していくパターン。最後まで犯人が誰なのかわかりにくくしているけれど、登場時から割と犯人が怪しい素振りは見せているので、最終的に捕まったときは「やっぱりこいつか」となる。捜査過程がわかりやすく納得のいく流れで破綻のないミステリーに仕上がっていた。とは言っても、私はミステリーに造詣が深いわけではないので、個人的にそう感じたというだけで、ミステリー好きな人が見たらいろいろ思うところはあるのかもしれない。でもまあ、展開や相関関係がややこしすぎることなく、かといって単純なわけでもなく、ちょうどいい塩梅のミステリーだったんじゃないかな。

ちなみに私は「ヴェラ~信念の女警部~」を見る時は、いつもメモを取りながら見る。このドラマはとにかく登場人物が多くて、人間関係も複雑なので、新しい人物が登場するたびに一時停止して名前を書き留め、誰と誰が夫婦で、誰と誰が兄弟で、誰と誰が恋人で~というふうに、メモりながら見ていたよ。

 

話が逸れたけど、一つ気になったことがあるとすれば、毎回ラスト近くに有力な容疑者が捕まって送検寸前までいくんだけど、コールマン達が「こいつが犯人だ!」と確信をもって捕まえて尋問したら、「やっぱりこいつ犯人じゃないんじゃね?」となって、最後の最後に真犯人が捕まるパターンになることかな。さすがに3話目までくると、怪しいヤツが出てきても「絶対こいつ犯人じゃないよね?」って先の展開が読めてしまう。でもまあ、どんなミステリードラマでも最後の最後で犯人が判明するのはお約束というか、ミステリーってそういうものだから、それを言っちゃあおしまいなんだけど。

 

ところで今回私はこのドラマで初めて「対質」という言葉を知った。今まで見たことのある刑事ドラマで、対質なんて聞いた覚えがないぞ。被疑者二人を対面させて、尋問するやり方があるんだな。むしろ今まで見てきたドラマでは、被疑者同士が口裏合わせをしないように、別々の部屋で一斉に尋問するパターンのほうが多かった。ここぞという場面でこの対質を使ってくるのは新鮮で興味深かった。

 

さて、ここからはちょっと休題。

★其の一★

第1話。コールマンはなんで同僚に異動の理由を隠そうとしたんだ。余計な詮索をされたくないのはわかるけど、この場合、周りに迷惑をかけないためにも事情を話しておくべきだろう。仲間にサポートしてもらわなくちゃ子育てと両立なんて無理だって。思った通り、相棒のクロエが不審がってるよ。そりゃあパリの第一線で活躍していたイケオジ刑事が、いきなり田舎の警察に異動してきたら変に思うよね。そして案の定コールマンの家庭事情がバレた途端に、相棒のクロエがめちゃくちゃ優しくなった。クロエの中でコールマンが、怪しさ満点のプレイボーイから、心優しい伯父さんへと一気にイメチェンして好感度爆上がりだ。

 

★其の二★

こういう刑事ドラマって、主人公が職場恋愛に走りがちだけど、相棒のクロエにはラブラブな恋人がいるし、コールマンに気のある検視官とも安易にくっつかない展開が地味によかった。なんかすぐ相棒の刑事とくっつくパターンっよくあるよね。あれってあんまり好きじゃないんだよな。その点、コールマンが恋をするのは、子ども達の学校の先生。最初はご近所のココさんといい関係になるのかと思い、次に相棒のクロエとくっつくのかと思い、もしかして穴場狙いで検視官の女性もあり?と思っていたところに、いきなりの真打ち登場でこれはかなり意外だった。でもこの二人はとてもいい感じだったから、ラストでお別れしちゃって悲しい。別にそこで別れなくても~と思ったけど、別れの理由がお互いに覚悟ができていなかったからというのは良かった。このドラマに出てくる大人達は、みんな価値観がしっかりしているので見ていて気持ちが良い。

 

★其の三★

最終話のカラオケのエピソードは良かったな。子ども達がカラオケを諦めるくだりで泣いちゃったよ。それにご近所のココさんも最初はコールマンに気があるそぶりだったけど、最後には本当に気の良い頼りがいのあるご近所のおばさんになってて良かった。このドラマはみんなそれぞれがとてもいい距離感を保っているなと感じた。

 

まとめ

まさかミステリードラマで、こんなに心温まる気持ちになれるとは思わなかった。ミステリードラマだけど、比重はむしろファミリードラマだな。今年視聴したミステリードラマの中では、かなり私好みのドラマだった。ミステリー部分と人間ドラマのバランスがとても良い。そしてみんな良い人で、見ていてイラっとくることがない。ドラマの展開が暗くなりすぎることなく、明るく楽しく軽快なタッチで気軽に見ることができる。なんといっても視聴後に気分が上向きになるのがいいよ。

 

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