The History Hour

華流ドラマ・海外ドラマの感想や幻想水滸伝のプレイ日記が中心。推しを愛でるのが目的なのでネタバレ満載です☆

【華流ドラマ】繁城の殺人 #1,#2:リアルに徹したミステリー時代劇

2024年8月14日(水) WOWOWプライムおもしろかった~。

蓮花楼の後番組で何気なく見始めたけど、思いのほかおもしろくて掘り出し物を見つけた感じ。中国の明時代が舞台の時代劇で、綿密な時代考証と練り上げられたストーリー構成で、本格ミステリードラマに仕上がっていると感じた。

華流ドラマでイメージしがちな派手なアクションや煌びやかな衣装もなく、あくまでリアルに徹している。主人公をはじめ登場人物の人間性や心理描写もしっかり描かれていて、欧州のミステリードラマに匹敵するドラマ性とクオリティの高さを感じた。

 

時は明代。主人公である曲三更の師・冷無疾が無残な死体となって見つかる。冷無疾は絞殺されたあと、棒で体を刺し貫かれており、その棒には犯人が残したと思われるメッセージが刻まれていた。三更は捕吏として、師を殺めた犯人を捕らえるべく捜査を始める。

 

捜査は最初から難航。まるで容疑者の検討がつかない中、殺人犯が残したメッセージから動機を探る流れがおもしろかった。犯人のメッセージも「論語」の引用になっていて、そこから解明されていくのが中国ならではの暗号っぽくていいね。

また、三更が冷無疾の殺される直前の足取りを追っていき、最後に立ち寄ったと思われる場所を特定していく流れもよかった。捜査が一足飛びにならず、一つずつ手順を踏んで進められていくのが現実味があってよい。

そしてなんといっても第一話のラストの締めくくり方が秀逸。三更の推理とシンクロして、視聴者にだけ明かされる冷無疾が殺されるシーン。三更の推理通りのところもあれば、的外れなところもあり、映像による対比の見せ方がとてもよくできていて興味深かった。

 

第一話は捜査中心でぐいぐいと視聴者を引っ張っていき、第二話は一息ついて主人公をはじめとする登場人物の内面やそれぞれの相関関係がわかる展開になっている。

主人公の三更は正義感が強いけど、割と短気で気が強い。母親思いで優しいが、酔っ払って気に入らない相手をボコ殴りにしたりもする。三更の父親が二十年前の火事で亡くなっており、どうやらこの火事の真相が今回の殺人事件と繋がっている模様。

三更の殺された師・冷無疾もこの火事と何やら関係があるようだ。最初はなぜ殺されたのかわからないような善人に見えていたけれども、第二話で実は裏の顔を持っていることが判明する。家族にも秘密で大金を所持しており、この大金の出所はまだ不明。

冷無疾の娘・桂児も肝の座った性格をしている。普通ならヒロインの立場だが、つんけんしていてまったくもってヒロインっぽくない。いや~、この子、本当にヒロインっぽくないんだよね。父親を亡くしたばかりで気持ちに余裕がないのかもしれないけれど、三更に対しても態度がずいぶんと冷たい。父親がたとえ悪人だったとしても、そんなの自分には関係ない。父を殺した奴を見つけ出して、この手でしばいてやると言わんばかりの気迫が潔い。

三更の相棒・高士聡は、主人公の相棒にありがちなお調子者。ちょっと間の抜けた気のいい青年で、シリアスなこのドラマのお笑い担当になっている。差し詰め主人公の引き立て役といったところだが、ミステリーの鉄則である「一番あり得そうにない奴が犯人」に従って、私はこいつが真犯人ではないかと疑っている。はっきりいって根拠はない。あくまでもミステリーの鉄則に従ってそう思っているだけ。でも、本当に気のいい青年だから、実は真犯人ではないほうが嬉しい。あと、こいつは善人すぎるので、これまたミステリーのお約束で途中で殺されないことを願っている。

もう一人、メインキャラの一人と思われる鳳可追。大食いの秀才。まだ出番は少ないが、私はこの人が今のところ一番気に入っている。頭のいいキャラって好きなんだよね。そして頭がいいくせに、どこか抜けているところがポイント高し。第二話のラストで、この人の叔父さんが地中に埋められ殺されているのが発見される。冷無疾に続く第二の殺人の被害者。今後彼の死と冷無疾の死がどのように繋がっていくのかも注目ポイント。

他にも、三更の上司である易頭領と宋典史など、組織内のいざこざも描かれていて興味深い。易頭領はたぶんただの嫌味な小者だけど、宋典史はなんだかよくわからない不気味さがある。この人は三更の敵なのか味方なのか。なんとなくラスボスっぽい雰囲気があるんだよな。

また、冷無疾の愛人・林さんも善人に見えたけど、こちらは捜査の鉄則である「関係者は全員疑え」に従って、三更がきちんと容疑者の一人として扱っているのがよかった。

 

さて、ここからこのドラマはどう転がっていくのかな? 捜査の行方もそうだけど、当時の社会機構や捕吏の仕組みなどもわかっておもしろい。きちんと時代考証がなされているとのことなので、歴史好きとしてはその辺りにも注目して見ていきたい。

さあ、私の無茶苦茶な推理・高士聡犯人説は当たるのか?

 

★参加中のはてなグループ