これはなかなかおもしろい! とにかくやたらと薄暗い世界観に引き込まれた。
近年の華流ファンタジー時代劇にありがちなキラキラ感がまったくない。薄暗い映像に、ダークな展開のストーリー。もちろん派手なアクションはあるけれど、それもどちらかといえば昔のカンフー映画に近い。ワイヤーを多用したアクションではなく、身体能力を生かしたアクション。個人的にはこちらのほうがアクションにリアリティが出てよいと思う。また、映像の編集にかなり工夫が凝らされていて、見ていて飽きることがない。迫力あるアクションシーンに仕上がっている。
物語は、ヒロインが花嫁候補の一人として、宮門に潜入するところから始まる。ヒロインは無鋒という刺客集団に属するスパイで、宮門と無鋒は長きに渡って対立しているらしい。しかし花嫁候補の中に無鋒の刺客が紛れ込んでいることが宮門側に知られ、宮門当主は彼女らを皆殺しにしようとする。
ヒロインの女刺客がとにかく根暗で表情が乏しくて、華流ドラマのヒロインっぽくないところがまたいいんだよ。さっきから華流ドラマっぽくないとか言っているけれど、私はそれほど数多くの華流ドラマを見ているわけではないので見識が間違っていたらごめんなさい。あくまでも自分が見たことのある華流ドラマの知識と照らし合わせて語ってる。
さて、ヒロインは没落した名家の娘・雲為衫として宮門に潜入したけれど、いきなりの大ピンチで次回どうなる? それに花嫁候補の中には、他にもまだ別の無鋒の刺客が紛れ込んでいるらしい。それが誰なのかも気になるところ。
そしてもう一人の主人公、宮門当主の次男・宮子羽。この人ちょっと頼りなくて、これまたあんまり華流ドラマの主人公っぽくない。でも、皆殺しにされそうな花嫁候補達をこっそり逃がそうとしてくれる心優しい青年。しっかり者の兄と厳格な父に囲まれて、今後ヒロインとどのようにラブロマンスを築いていくのか気になるところ。
その他に、宮子羽の姉(?)がかなりおもしろい。まったくコメディ要素のないドラマだけど、このお姉さんだけが例外で唯一おもしろい。護衛達の鍛錬場に自ら出向いていって、彼らが上半身裸で汗を流している姿に「まあまあ」と恥ずかしそうに顔を隠すのに、護衛達が慌てて服を羽織ろうとしたら、「あら、着なくていいのよ」と言って止めるのいったいどういうことだ。おもしろすぎるだろ、この人(笑)。
それにもう一人、ヒロインの直属の上司の男性が気になる。無鋒という刺客集団の中にいながら、自分が育てたヒロインをかなり気にかけている様子。組織の末端にいる人間の命など歯牙にもかけない刺客集団の中にあって、彼が今後どういう動きを見せてくれるのか注目だ。
ファンタジー時代劇って、固有名詞がやたらと多くて設定がわかりにくいイメージだけど、このドラマはずいぶんと内容がわかりやすくて助かる。脚本がうまいんだろうな。それに演出や映像すべてにおいてクオリティが高いと感じた。
まったくキラキラした雰囲気のない、どちらかと言えばダークな雰囲気のノワール作品だけど、私はこういうドラマのほうが好きだな。もっとこのタイプのファンタジー時代劇が増えてくれればいいなと思う。まあ、まだ第1話を見ただけなので、もしかしたら今後ストーリーが進んだら、ラブロマンスが中心のキラキラドラマになるかもしれないけれど。
まだ海の物とも山の物ともつかないけれど、このドラマは期待できるので最後まで鑑賞したい。